昨秋に練習復帰も、再び同箇所を骨折
しかし、代表の大枠となる35人のなかに名前が入っていないことを、6月の中旬になって日本サッカー協会から伝えられる。辛かったが、ここまでの軌跡は必ず将来の糧になると自らに言い聞かせた。
「オリンピックに出られず、世界を感じるチャンスを逃してしまった分、早くA代表に選ばれたい。僕にはもうそこしかないですし、リオデジャネイロ世代からもすでに何人かが選ばれているので、もうそんなに遠い目標じゃない。そのためにも、フロンターレで結果を残し続けないといけない」
目標をシーズン中の復帰と、ハリルジャパン入りに切り替えた。9月下旬にはベンチ入りを果たし、ピッチへの帰還まで秒読み体勢に入った直後の10月上旬に、またもや悪夢に襲われる。
練習中の接触プレーで、同じ個所を骨折した。結局、5月のヴィッセル戦が最後の出場となったまま、奈良の2016シーズンは終わりを告げた。選手生命にもかかわってくるだけに、焦らず完治をめざした。
実戦に必要な体力と勘が、まだ戻り切っていなかったからか。大宮アルディージャとの開幕戦、サガン鳥栖との第2節で、奈良はともに試合終了間際からの途中出場に終わっている。
しかし、柏レイソルとの第3節からは先発に復帰。けが人が続出し、野戦病院とまで揶揄されるほどの厳しいチームの最終ラインを、谷口とともにフル出場しながら懸命に支えてきた。
FC東京のホーム、味の素スタジアムに乗り込んだ第4節の「多摩川クラシコ」では、残り15分を切ってから喫した3失点すべてに絡み、「すべては自分の責任」と唇をかんだ。
それでも、プレーできる状態をキープできれば、必ず取り返せるチャンスが訪れる。左足の痛みと戦い続けた昨シーズンの5月以降に比べれば、落ち込むのは一瞬で、すぐに奈良は顔をあげてきた。
「対応の部分というのは、自分のなかでも少しずつ感覚を取り戻しつつあると思っている。ただ、けがをする前の状態に戻ることが僕のゴールではない。求めるのならば、いま現在の自分に何ができるのかをもっともっと意識して、プレーのすべてを高めていきたい」