フランス代表にも多くの選手を送り込む
その地道な過程を経て生まれたのが、今季のモナコだ。
第31節を終えて88得点は、昨季、完全な独走体制で数々の記録とともに4連覇を達成した同時期のPSGのゴール数より「11」も多い。
1試合で6、7得点というリーグ1では珍しい大量得点の試合もしばしば。得点ランクトップ20にはファルカオを筆頭に3人、アシストランク20傑にはなんと6人を送り込む超攻撃的チームだ。
一方CLでは手堅い試合が多く、グループリーグの6試合で9得点しかとっていない。しかし一転、ラウンド16のマンチェスター・シティ戦では敵陣で5?3、ホームで3?1、合計6?6という打ち合いを演じて勝ち抜けた。
そして迎える準々決勝。相手のドルトムントは、モナコと似たタイプの攻撃型チームだ。経験豊富な中堅と威勢のいい若手が混ざり合い、オーバメヤン、デンベレのような勢いあるストライカーがいるところも共通している。
モナコの持ち味は、強力なサイド攻撃。両サイドバック、右のシディベと左のメンディは、スピードがあってフィードの精度も高く、ゴールに直結するチャンスを作れる。
シディベはすでに代表でもレギュラー格で、メンディは3月の国際マッチデーで初招集。W杯予選のルクセンブルク戦では2人揃ってアシストを記録した。
中盤はベテランのファビーニョがしっかり底でコントロールし、身体能力抜群のティエムエ・バカヨコがダイナミックに動くという構図。
その前には、アジリティが高い上に技術面にも優れたルマールがいる。ルマールは自らゴールを決められるが、セットアップも上手い。
攻撃ラインは、ポスト役がリーグ1昇格に貢献した古株のジェルマン。彼は国際的には知名度は高くないが、要所で良い仕事をするチームに一人欲しいタイプの堅実型ストライカーだ。そして負傷欠場が続いていたファルカオは、8日のリーグ戦、対アンジェ戦に3試合ぶりに復帰し、さっそく決勝点となるゴールを見舞った。
さらには、やはり3月の国際マッチデーで代表デビューし、フランスで話題沸騰中の18歳、ムバッペもいる。彼はモナコでは左サイドに入ることが多く、メンディ、バカヨコ、ルマールとつないでムバッペ、と攻め上がる左側の超特急ラインは、胸がすくような痛快さがある。