「セットプレーで俊さんのように違いを出せる選手になりたい」
横浜FMと提携しているシティ・フットボールグループ(CFG)が提唱するプレーモデルの中に、天野が進むべき道が示されていた。トリコロールの背番号14には、CFGの総本山があるイギリスの強豪マンチェスター・シティで活躍するダビド・シルバのようなプレーが求められているという。天野は「しっかりしたプレーモデルがあるので、自分はその映像を見ながらやっている」と語った。
中村俊輔とダビド・シルバ。25歳にして飛躍のときを迎えようとしている天野には、選手として到達しなければならない2つの大きな“ゴール”ができた。
セットプレーの部分では、かつて共にプレーした偉大な先輩が、これからも大きな目標であり続ける。天野と中村俊輔は体型的にも似通っており、フリーキックを蹴る際のフォームは瓜二つだ。すぐそばで練習を見てきたからこそ、蹴り方も似てきたのだろう。
「キックの部分、セットプレーの部分は、直接聞くわけじゃないんですけど、練習を見ていたりとか、動画で見たりしていて、やっぱり今の自分のキックにつながる部分もある。何を持って超えるかという指標は別にないんですけども、とりあえずセットプレーで俊さんのように違いを出せる選手になりたい」
そしてゴールに直結するプレーを磨くことにおいては、スペインを代表する技巧派MFのプレーが天野にとってのひとつの基準になった。
彼ら2人に限りなく近づく、あるいは超えることができれば、天野純という男が本当の意味でサッカー選手としてひとつの壁を乗り越えたと言えるのだろう。偉大な先人たちの背中を追いかけ、天野の長い旅はこれからも続いていく。
(取材・文:舩木渉)
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