「僕自身は手放しでこの勝利を喜ぶことはできない」
昨年12月24日に行われた天皇杯準々決勝のガンバ大阪戦、不慣れなボランチで起用された天野は、1-1で迎えた後半アディショナルタイムも終了かと思われた96分に強烈なミドルシュートで勝ち越しゴールを挙げる。この劇的な決勝点が全てを変えた。
2017年、憧れであり超えられない壁でもあった中村俊輔がジュビロ磐田へ移籍し、トップ下のポジションが空いた。だが、そこにはかつてバルセロナ下部組織でプレーした実績を持ち、マケドニア代表歴も持つダビド・バブンスキーが加入。
そこで天野は昨季終盤から取り組み始めたボランチに活路を見出す。プロ4年目にしてエリク・モンバエルツ監督からの信頼を獲得し、開幕戦からリーグ戦全試合に先発出場。毎試合の走行距離はチームでも1、2を争うレベルで、最終ラインと前線をつなぐ重要な役割を果たしている。
それでも勝利した8日の磐田戦を終えて「僕自身は手放しでこの勝利を喜ぶことはできない」と感じたのはなぜだろうか。理由は試合終盤のプレーにあった。
後半アディショナルタイム突入直前の90分、横浜FMはペナルティエリアの5mほど手前、左利きの選手にとってゴールを狙いやすい位置でフリーキックを獲得した。キッカーに立ったのは天野。だが、左足で蹴ったボールは相手選手の壁に当たり、こぼれ球を叩いたシュートも中村俊輔にブロックされてしまった。また高い壁を超えられなかった。
「2-1で迎えた最高のシチュエーションで、やっぱりあそこを決めきらなければいけないし、俊さんだったらあそこは絶対に決めていた。今日は勝てたんですけど、僕自身は手放しでこの勝利を喜ぶことはできないので、もう1回次の練習からフリーキックを練習して、早く1点、とりあえずフリーキックで決めたい」