今季は若手選手が躍動。クラブの生え抜きもトップチームに定着
9日に行われたミランvsパレルモの一戦は、ミランの今シーズンを象徴するかのように若手が躍動した一戦だった。
前半6分、直接FKをいきなり突き刺したのは、筋肉系の故障による1ヶ月間の戦線離脱から復帰した23歳のスソ。そのスソの右クロスをファーで押し込み2点目を決めたのは、22歳のマリオ・パザリッチ。さらに試合を決定づける3点目は、20歳の右サイドバックであるダビデ・カラブリアが演出。今シーズンはケガに苦しんだが、シーズン終盤で活躍の場を得た。
縦への爆発的なスピードで数々のチャンスを作り、駄目押しの4点目を決めた途中加入のジェラール・デウロフェウも23歳。この日のゲームキャプテンは24歳のマッティア・デ・シーリオが務め、後方では22歳のアレッシオ・ロマニョーリが守備を固める。この日は下位に低迷するパレルモが低調だっただけに見せ場は少なかったが、GKジャンルイジ・ドンナルンマは先日に18歳を迎えたばかり。最近はベンチスタートも多くなったが、19歳のMFマヌエル・ロカテッリの台頭も今シーズンのニュースだった。
控え選手も含めた出場14人の平均年齢は24.92歳。2~3シーズン前は平均27歳を超えることもざらで、むしろ選手の高齢化ばかりが問題となっていたから、当時を考えれば見事なまでの変革ぶりである。
そして上で列挙した選手のうちカラブリア、デ・シーリオ、ドンナルンマ、ロカテッリはクラブの生え抜きだ。トップチームで1度でもデビューさせれば成功といわれる下部組織の選手を、これだけ主力に定着させることができたのは、間違いなくクラブとして大成功だと言える。
もっとも歴史を振り返れば、ミランの下部組織は決してここ1~2年で躍進したわけではない。むしろ優秀な人材を輩出する機関としては優秀な方だった。フランコ・バレージやアレッサンドロ・コスタクルタ、またパオロ・マルディーニなど、かつての“グランデ・ミラン”を支えた面々からして生え抜きも多かった。そしてシルビオ・ベルルスコーニが会長に就任してからも、経営陣は大型補強に大金をつぎ込む傍ら、下部組織にもちゃんと資金を投入していた。