「仲間のために戦うゲームが34試合分のいくつかあってもいいんじゃないか」(名波浩監督)
最前線で身体を張り、フォアザチームを体現し続ける川又堅碁は、10番にとっての初の古巣戦を最高の形で締めてあげたいと考えていた。
「いろいろな感情が俊さんにはあると思うけど、いつも通りやると言うと思う。自分も1試合1試合全部大切にしているし、気持ちが入っていない試合はない。でも、その中でも古巣だったとかいうのもあるので、そういう時は勝ちで終わった方がカッコいい。取ってあげたいという思いは強い。全員がそう思っていると思うし、そういう空気作りをしていきたい」
個々が思いを巡らせ、試合への集中を高めていた時だった。名波監督は、選手たちにこう語りかけたという。
「俺たちには計り知れない、目に見えないものがあって、俊輔はそれを背負ってやってきた。この一戦にかける思いは誰よりも強いであろう、その思いの丈でさえも俺らには計れないと思う。でも仲間として、仲間のために戦うゲームが34試合分のいくつかあってもいいんじゃないか」
中村俊輔は、チームメイトの想いを意気に感じている。
「ミーティングで名波さんが『誰かのために、という試合があってもいいんじゃないか』と。そういうのはこのチームならではだし、ジュビロイズムだと思う」
周囲のリスペクトや愛情を受け止めたレフティーは、その上で一人のプロサッカー選手として横浜FM戦に臨む意思を明かした。
「ジュビロの一員として、34試合の1試合に集中したい。他の選手たちにも集中してほしいなと」
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