練習時に川辺との位置関係を確認していた松浦
その日の練習後、松浦拓弥と川辺駿が話し合う姿があった。「駿が珍しく何回か食われていたから、もう少しダイレクトで出せる位置にいてほしかったのかなと思って声をかけた」と松浦は言う。そして、こう続ける。
「アイツが一人で時間を作ろうとしてくれていた。ボールを動かして時間を作るという意味ではアイツは(味方に)当ててまた動かして、というのが上手い選手だから近くにいた方がいいのかなと」
球離れのタイミングを見失えば、絶え間なく圧力をかけてくる清水の守備に捕まってしまうだろう。ワンタッチのパスを織り交ぜる必要がある。
「フリーならフリーで早めに付けてあげれば、受け手が楽になる。止めて丁寧に繋いでだと、受け手は次の選択肢が消されているからボールを戻すしかなくなる」
名波監督はこう語る。また指揮官は、チームのワンタッチパスの精度や回数について「今のうちに足りないのはそこ。うちは多分、ワンタッチの数が18クラブ中18位か17位だと思う」とも述べている。
相手にコースを消される前に素早くボールを離すことが出し手には求められる。また受け手の選手もサポートの角度や距離感を意識し、フォローしなければならない。前から潰しに来る相手に対してシンプルに裏へ送り込む選択も頭に入れつつ、パスのテンポには常に気を配るべきだろう。
「紅白戦と試合は違うので、また変わってくると思う」と川辺は話している。実際、エコパスタジアムで展開されたサッカーは、気鋭のボランチの言葉を裏付けるものとなった。
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