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香川真司 8年前

香川が示した確かな戦術眼。ダービー引き分けに落胆も…シャルケ守備陣を破壊した必殺パス

text by 本田千尋 photo by Getty Images

ダービーで証明した実力。ドローにも手応えが

ゴンサロ・カストロ
「ゲームを殺してしまった」と後悔を語ったゴンサロ・カストロ【写真:Getty Images】

 ダービーでのアシスト、香川の語る手応え。

「ハーフタイムの後っていうのは特に、立ち上がりっていうのは、色々なものが起こり得るので、その中で先制点が取れたことはすごくよかったです」

 さらに58分。ヴァイグルからパスを受けた香川は、反転すると、左前方を走るオーバメヤンにスルーパス。46分の場面と似たような形だ。オーバメヤンの折り返しは、DFにクリアされてデンベレには届かなかったが、香川の振るう攻撃のタクトは、シャルケの守備に横たわる亀裂を、確実に大きなものにしていった。

 しかし決めるべき時に決めきらないと、しっぺ返しを食らう。トーマス・トゥヘル監督の言う「究極的にエモーショナルでインテンシティの高いゲーム」=レヴィア・ダービーのような試合では、なおのことだった。

 77分。エリア内でゴレツカが落としたボールを、ティロ・ケーラーが突き刺す。痛恨の失点だった。

 ゴンサロ・カストロは悔恨する。

「僕らは追加点を奪うチャンスを逃した。そしてゲームを殺してしまった」

 香川は落胆する。

「まぁ、まぁ…勝つべき内容だったので。相手の怖さ…セットプレーとその後の流れでやられましたけど、それしかなかったので。そういうところはすごく残念ですね。まあ、そりゃ悔しいですし。ダービーですから。勝ちたかったですね」

 痛み分けに終わった通算171度目のレヴィア・ダービー。シャルケにもドルトムントにも“英雄”は生まれなかった。しかしそんな中、万全とは言い難かったコンディションでも、香川は確かな戦術眼でチームの攻撃を牽引した。

 何よりファンのために戦った香川。

「ダービーは特にファンにとって大事。クラブにとってもそうですけど、それをピッチに入れば感じますし、雰囲気もいつもと違う中でやれるので、だからこそ勝ちたかったなと思います」

 その想いは、敵地フェルティンス・アレーナに駆け付けた黄色い一角に、伝わったはずだ。

(取材・文:本田千尋【ゲルゼンキルヘン】)

【了】

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