シャルケを破壊した香川のパス。効率重視のプレーで違いに
前半はドルトムントがじっくりボールを回していく中で、香川もシンプルなプレーに徹した。シャルケの守備陣が4バック+2ボランチで構える中を、着実に動いていく。ボールが入ればカストロにダイレクトで落とし、また無理をせずサイドに叩くなどして、リズムを生み出そうとした。
「ボールをもらえない時間もありましたけど、しっかりボールが入った時に、効果的なプレーをしていこうと。動く量はあんまり…控えめといったら変ですけど。シンプルにポジションを取りながら」
シャルケとがっぷり四つに組んだ前半戦。代表ウィーク明けの難しさがありながら、チーム全体としての守備を維持しつつ、敵の攻撃を最小限で食い止めるドルトムント。
そして思いの外、バイタルエリアにスペースがあった。
「あそこのスペースは結構空いていたので、DFラインから引き出せたらチャンスになるなと思っていました。まあ、前半はなかなか少なかったですけど、効果的なプレーはできていたので。後半はより空いてくるんじゃないかなと思っていました」
そう予想したとおりだった。後半開始早々、香川が自らチャンスを演出する。
46分。ヴァイグルがレオン・ゴレツカからボールを奪うと、こぼれ球を拾った香川が中央をドリブルで運び、右足のアウトサイドでスルーパス。出足の鋭いボールに、オーバメヤンは届かなかったが、この香川のパスでシャルケの守備にヒビが入った。
香川の語る代表ウィーク明けの難しさは、シャルケにとっても同じことが言える。ホームで迎えるシーズン中の“擬似開幕戦”。多くの選手を各国代表に送り出した“ケーニヒスブラオ”(「王者の青」という意味、シャルケの愛称)のコンディションも、万全とは言い難かった。そんな両チームの状況が相まって、50分過ぎには、早くもゲーム全体が間延びしてくる。
そして53分、デンベレからのスルーパス。香川は右足で器用にトラップしながら、ペナルティエリアに入ると、アウトサイドで右を並走するオーバメヤンにパス。あとは押し込むだけでよかった。