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柴崎岳、“希少性”を武器にテネリフェで輝けるか。監督の頭を悩ますインテンシティ問題

text by 舩木渉 photo by Getty Images

希少性がチームの選択肢を広げるか。攻撃面の貢献度が終盤戦の鍵

柴崎岳
しばらくはベンチかもしれないが、チャンスは必ずやってくる【写真:Getty Images】

 しかし現実はそう甘くない。体調不良などによる出遅れの影響は想像以上に大きく、コンディションが整ってチーム練習の内容を理解できるようになっても、公式戦のピッチは別物だった。2部特有のテンポや激しさへの適応はまだ道半ば。必然的にプレッシャーが激しくなるゴールに近いポジションで先発起用するにはリスクが高い。

 ただし、中盤と前線をつなぐ存在、柴崎のような攻撃的な司令塔はチーム内において希少であるのは先に述べた通りで、その力が必要とされる時は間違いなくやってくる。中盤を構成するA・サンスやビトーロはバランサータイプで、カディス戦に中盤で先発したアルベルト・ヒメネスはセンターバックとボランチを兼任する守備的な選手だ。

 このようにパスの技術が高くチャンスメイク能力に長けた司令塔タイプはいない。試合がこう着した状態、あるいはビハインドの状態で流れを変えられる攻撃的なカードは少ないため、柴崎はテネリフェが終盤戦の重要な場面で勝ちきるためのキーマンになりうる。

 ヘタフェ戦前のように負傷者が続出するようなアクシデントがない限り、しばらくは途中出場で徐々に体や頭を慣らしていくことになるのではないだろうか。まずは4月2日の次節オビエド戦、昇格に向けて負けられない一戦で訪れるはずのチャンスを確実にものにできれば、また状況は大きく変わってくるはず。

 復帰まではクラブからの全面的なサポートを享受してきたが、公式戦のピッチに立った以上は他の選手たちと同じラインに立って競争しなければならない。幸いスペイン2部のレギュラーシーズンは6月まで続き、柴崎には11試合が残されている。とはいえサッカーの世界が変化するスピードは想像以上に速く、急流の中で生き残るには目の前のチャンスを必死につかみにいかなければならない。それがたとえ一瞬だとしても。

(文:舩木渉)

【了】

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