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柴崎岳、“希少性”を武器にテネリフェで輝けるか。監督の頭を悩ますインテンシティ問題

text by 舩木渉 photo by Getty Images

ドローはリーグ最多。柴崎が勝ちきれないテネリフェの起爆剤に

 カディス戦も前に述べた通り非常にプレー強度が高く、めまぐるしく展開が変わる激しいゲームだった。全体的な運動量が落ちてくる終盤に攻撃のラストピースとして出場させるつもりだったのだろうが、残り5分を切ったところで1点奪えたことにより状況は一変。テネリフェはチームとしての勝利を確実にするため守備的な選手を投入し、必要以上に動かないことで虎の子の1点を守り切る決断をした。極めて自然な選択だ。

 もし柴崎が1月末のテネリフェ加入後にすぐデビューできていたら、ヘタフェ戦やカディス戦にも絡めていたかもしれない。だが、サッカーに“たられば”は禁物。現実を受け入れ、前に進まなければならない。

 柴崎が今後出番を増やすのに必要なことは何か。ひとつはチームが早い時間帯に点を取り、主導権を握って試合を進めていくことだ。そうすれば柴崎をはじめとした新戦力たちにもチャンスを与えられる。他力本願ではあるが、ゴールを決めること自体がテネリフェ最大の課題でもある。

 昇格争いに絡んではいるものの、テネリフェがリーグ戦31試合で奪ったゴールの数はわずか「35」にとどまっている。13引き分けはリーグで最も多く、負けないが勝ちきれない中途半端なチーム。いつそのバランスが崩れてもおかしくない。明確なエースストライカーが不在で、冬に獲得した攻撃的な選手も負傷で起用できないなど順調そうに見える順位とは裏腹に、逆境に直面している。

 そこで柴崎に求められるのは、やはり前線に近いポジションでゴールに絡むプレーだろう。実はテネリフェには柴崎のように攻撃的なタイプの司令塔はいない。これがプレー時間を増やすために必要な2つ目の要素になる。

 カディス戦ではトップ下に本職が一列うしろのアイトール・サンスが起用された。本来ならばそこに柴崎を据え、前線のアマスやサイドのアーロン・ニゲス、オマル・ペルドモといった選手たちの力を引き出す決定的なパスを期待したいところだ。

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