「賛成」「反対」…両論が飛び交った映像判定
試合後、特にフランス側の報道陣は、選手たちに片っ端からこの件について質問を浴びせた。
「喜んでいたと思ったら無効になって、なんか拍子抜けしてしまった。正しいジャッジの助けになるのは確かだと思う。世界的に要求が高まるのなら導入されるんだろうし、そうでなければこれまでどおりのサッカーをするだけだ……(と言葉を濁す)」(グリーズマン)
「ゴールが決まったと思ったら後で取り消されて、もちろんフラストレーションは感じたけれど、結局は(ビデオが)正しい判定の助けになる」(バカヨコ)
「もちろんがっかりした。せっかくゴールを決めたと思ったらキャンセルされてしまったんだからね。試合が台無しにされたような気もする。誰にでもエラーはあってそれは審判も同じこと。それも含めてフットボールなんだし、これまで通りでいいと思う」(クルザワ)
「ピッチの上にいる者にとっては気持ちを消化するのは難しい。ゴールを祝った直後に取り消されるというのはね……でもワールドカップのような大きな試合では、正しい判定の導入は重要とも思う。ただ今日はそのビデオ判定の結果がなかったとしても、ゲーム内容でスペインが勝っていた」(ジャレ)
「今日はフランスに不利な結果になったけれど、正しい審判をする助けになるという点では、フットボールに寄与するものだと思う」(主将ロリス)
「不公平を解消するという意味で導入には賛成だけれど、問題はタイミング。すぐ直後に取り消されるならすぐ気持ちも切り替えられるけれど、2、3分待たされるのは体も冷えるし精神的にも良くない」(ムバッペ)
デシャン監督は「ビデオによって、目視では判断しきれなかった真実がわかることは好ましい。今回はたまたま我々に不利な結果になった」と鷹揚さを見せたが「とはいえ、ビデオ、ビデオ、と、そればかりに固執するのもどうかと思うが……」と微妙な心持ちものぞかせた。以降、メディアでも「賛成」「反対」両論が飛び交っている。
ムバッペのデビューにビデオ判定と、話題もりだくさんだった今回のフランス代表戦だが、不在だった主力メンバーも多く、現在地を知るには今ひとつ、という感じもする。6月に控えた次の予選は、グループ2位のスウェーデンとの重要な直接対決だ。この試合に勝てば、フランスはロシア行きに大きく近づく。
(取材・文:小川由紀子)
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