「連敗を止めるということは、それだけ彼に資質があるから」(川口能活)
開幕前から25歳の藤吉皆二朗とポジション争いを繰り広げてきた41歳の川口は、3試合続けてリザーブのまま試合終了の笛を聞いていた。ベンチで、そして後半はタッチライン際でウォーミングアップをしながら、23歳も年下の廣末のプレーを見ていた。
「僕は相模原の一員なので負けたことは悔しいけど、連敗を止めるということは、それだけ彼に資質があるからだと思う。勝ちを呼び込めるというのは、いいキーパーの条件なのでね」
川口自身も横浜マリノス(当時)に加入して2年目の1995シーズンの開幕直後に、レギュラーポジションを獲得。ファーストステージを制し、ヴェルディ川崎(現東京ヴェルディ)とのチャンピオンシップも制して年間王者を獲得し、その後の代表での軌跡へとつなげていった。
前出したストロングポイントを惜しむことなく繰り出し、一気にスターダムへと駆け上がっていったが、廣末にもプロで生き抜いていくための武器があると感じずにはいられなかった。
「フィードが非常にいいですよね。ディフェンダーが対応しにくいボールもあれば、若干ぶれているボールも蹴るし、あとはライナー性のボールといろいろ使い分けて蹴っている。いまは若くてパワーがあるので、すごく距離を飛ばしているけど、コントロールキックや緩急をつけられるようになれば、彼の武器にさらに磨きがかかるんじゃないかと思います」