2種登録選手5人が先発メンバーに名を連ねたU-23
誓い通りに全国の頂点に立ち、183センチ、78キロの体だけでなく、技と心も急成長を遂げる過程でFC東京を再び振り向かせた。背番号「30」を託され、迎えた3月25日。公式戦デビューのチャンスが訪れた。
舞台はJ3第3節。場所はホームの味の素フィールド西が丘。FC東京が昨シーズンからJ3に参戦させている、U‐23チームの先発として指名された。相手は川口の所属する相模原。運命に導かれた縁を、感じずにはいられなかった。
中村忠監督から正式に先発を告げられたのは、キックオフ前のミーティングだった。しかし、開幕からゴールマウスを守ってきた波多野が、U‐20日本代表のドイツ遠征に招集されて不在だった。
「覚悟はできていました。チャンスが来るとしたらここだろうな、という心持ちでいたので。絶対に勝つ、という強い気持ちをもって、いい準備ができたと思っています」
FC東京U‐23の先発メンバーには、U‐18に所属する2種登録選手が5人も名前を連ねていた。平均年齢は18.55歳。リザーブの3人も2種登録選手で、ベンチ入りしたメンバーの平均年齢は18.21歳まで下がる。それでも、3人とキーパー1人を起用できるオーバーエイジを採用しなかった。
「J1に一人でも多くの選手を輩出して、活躍させる。そのための準備やプレーの確認といった、個人のところがウチのチームでは特化している。このチームでしっかりプレーする、トレーニングの段階からしっかり見せられる選手が、J1の試合に出られるということ」
中村監督も育成と勝負を絶妙のバランスで両立させる、難しいポジションにいるチームだと認める。案の定、年齢に導かれた経験と体のサイズで勝る相模原がキックオフから優位に立つ。
押し込まれる時間帯が続くなかで、廣末は最後尾から常に大きな声を発し、出場メンバーでは最高齢となる22歳の山田将之、トップに昇格して2年目の19歳・柳貴博のセンターバックコンビを鼓舞し続けた。