3位ナポリのファンでも「スクデットは無理」。ギャップを埋めるには数年は必要に?
一方、ユベントスとスクデットを争うライバルクラブのファンはどう思っているのか。ミラノ近郊で理髪店を営むナポリ出身のレッロさん(46)は、「いや、ナポリにはスクデットは無理だ」と終結宣言を出しつつ、ナポリとユーベの差について以下のように思いを語った。
「良い内容のサッカーをしているのは、ユーベよりもナポリだと思っている。けど、大事なところで勝ち点を取れない。こないだも、ホームでオレらアタランタに0-2で負けたんだぞ? その一方で、ユーベはそういう取りこぼしはしない。技術があるというのか、試合運びが上手いというのか、それが差になっている」
そしてレッロさんは、今のユベントスの姿をかつてのグランデ・ミランと重ねて、しばらく支配的な状況は続くのではないかと予想した。
「さらにクラブには赤字もなく、利益が9000万ユーロくらい出てるってんだろ? イタリアじゃ完全に一人勝ちだよ。そういう意味では、80年代後半にミランが強くなった時のことを思い出させるよね。あの時ナポリにはディエゴ・マラドーナがいて強かったんだが、ミランは(シルビオ・)ベルルスコーニがものすごい資金投下をやって、しばらくどこも勝てなくなった。その結果、カルチョは変わっちゃったとオレらナポリ人はみんな思ってるよ。今のユーベは少しそんな雰囲気がするんだが、ちゃんとしたマーケティングをやっての結果だからケチのつけようがない。ズルい? いや、彼らは強くなるべくして強くなってるよ」
絶対王者を凌駕するには、戦力を備えてサッカーを磨くだけでは不十分。コンスタントな成績を出せる力と、それを後押しするスタジアム、そして安定した経営力が必要となるのである。イタリアの他のクラブがこのギャップを埋めるには、やはりまだ数年は掛かりそうである。
(取材・文:神尾光臣【ミラノ】)
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