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セリエA 8年前

ユベントス一強時代に現地ファンは何を思う? 絶対王者の独走が示すイタリアサッカー界の問題

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

「強さの理由はスタジアム」。イタリアサッカー界が直面する問題

ユベントス・スタジアム
ライバルクラブのファンも羨むユベントス・スタジアム【写真:Getty Images】

 次に、ユーベとはやはり因縁浅からぬクラブの一つ、フィオレンティーナのファンに登場してもらおう。フィレンツェ出身だが現在はミラノの近くで働くミルコさん(25)は、ユーベの強さはユベントス・スタジアムにあることを強調し、翻ってイタリアのサッカー界全体が直面する問題を憂いていた。

「今の彼らの強さは、戦力が整っているからだというのはもちろんさ。でも、理由はやっぱりあのユベントス・スタジアムにあると思うね。ユベントスvsフィオレンティーナの時に行ったけど、やっぱり新しいし雰囲気もすごい。あの雰囲気に選手が後押しされたら、ユーベがホームで強いのも分かる」

 しかしだからと言って、他のクラブはなかなか追随できない。

「それにしても、分かりきっているのになんで他のクラブが後に続けないんだろう。プレミアリーグとかブンデスリーガとかの中継見ててもみんなスタジアムは素晴らしいのに、みすぼらしいのはイタリアだけだ。しかも、この国は計画が出れば政争の具になって話が潰れる。フィレンツェだって、フィオレンティーナはずっと前から新スタジアムの計画書を提出しているというのに、政治家の間でことごとくもめて話が進まないんだ」

 先日も、ローマの新スタジアム建設計画がローマ市によって承認されたが、これも計画提出から長期間に及んで地元の政治問題と化していた。ユベントスとの経済力差を詰めるために収益の出せる自前のスタジアムは必須なのだが、イタリアでは用地確保や建設を自前でやると主張してもすんなりとは行かないのが現実だ。

「ユベントスがスタジアムを造ることができたのは、トリノ市との関係が奇跡的にうまく行っていたからだ」とミランのアドリアーノ・ガッリアーニ副会長は語っていた。

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