外国人過多から一変。若手重視となった2つの理由
それにしても、近年のセリエAではビッグクラブはおろか地方の中小クラブですら外国人比率が高いと問題視されていたのに、それがなぜ急に変わったのだろうか。考えられる理由は2つある。
一つは、2014年から選手登録の制度が変わったこと。同年にイタリア代表はブラジルW杯でグループリーグ敗退という屈辱を味わったが、「外国人選手が多すぎる。もう少しイタリア人に出場機会を与えなければならない」と伊サッカー連盟(FIGC)のカルロ・タベッキオ会長は警告。そして、UEFAが2011年に掲げた選手登録のルールをセリエAにも適用させた。
つまり、8人以上が「自国育成選手」でなければならず、4人以上が「クラブ内育成選手」としなければならないというルールの強制化だ。かくして、セリエAの各クラブは重い腰を上げ、外国人選手過多と言われていた傾向に手をつけた。
もう一つは、国際的な移籍市場の高騰についてセリエA勢がついて行けなくなったという懐事情だ。各クラブはUEFAファイナンシャル・フェアプレーの遵守を突きつけられ、経営体力を超えた額の選手獲得を禁じられる中、たとえ若手であっても外国人選手を獲ろうとすると裕福な海外リーグ勢との競合で負けるようになった。
そうなれば、競争力のある選手は自前で生み出さなければならなくなる。現在、セリエAに臨むクラブの多くは育成部門への投資比率を高めている。中国の家電販売大手『蘇寧グループ』の資本が入ったインテルも、施設の拡張計画を進めている。トリノもまた、かつてのホームスタジアムだったスタディオ・フィラデルフィアを改築して、下部組織の練習場として使えるかどうかを地方公共団体に申請中だ。
いずれにせよ、イタリア代表の世代交代もその反映の出来事であることには間違いない。予選に通過した暁には、どんなチームをロシアで披露するのだろうか。
(文:神尾光臣【ミラノ】)
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