クラブの運営や経営を疑問視する匿名の投書
練習場やクラブハウスの整備や海外クラブとの提携、公益性の高い事業を行うための社団の設立……近年、長崎のクラブ運営は、クラブの取締役GM 兼 社団代表理事の服部順一と、県内大手のガス会社を経営する中核スポンサーで、長崎県体育協会理事長でもある非常勤取締役の荒木健二が、ガッチリと手を組むことで支えられてきた。
その一方、社団とクラブの関係性が曖昧でクラブの全体像や方向性がわかりにくく、服部が信頼するスタッフのみで構成する「GM室」への権限集中によりスタッフ間で情報・待遇・業務の格差が拡大。一枚岩とはほど遠い状態になっていたのも事実である。
2016年に池ノ上俊一が代表取締役として招聘された後、この傾向は一層強くなり、一部のスタッフを除いてクラブの現状が分からないという状態に拍車がかかっていった。
クラブの運営や経営を疑問視する匿名の投書が、JFAとJリーグへ送られたのはそんな中のことである。
6月と11月にJFAへ送られた投書に対して、クラブは「問題なし」と回答するのであるが、12月に3度目の投書を受け取ったJリーグは問題を重視し、クラブに外部監査を受けるよう要請する。
こうしてクラブは、12月末から外部監査人と顧問弁護士のもとで調査を開始するのであるが、中立性を欠いた調査手法と投書内容以外の調査に注力した結果、監査報告はJリーグによって否定され、外部監査人と顧問弁護士を解任した上でのJリーグによる再監査と再調査が入ることになってしまった。