リオ五輪世代の突き上げ。ベルギーでの活躍でさらなる高みへ
ヤングボーイズでも今シーズンの前半だけで、公式戦で12ゴールをあげていた。ヘント、そして日本代表のゴールを加えれば「19」となり、ハリルホジッチ監督が掲げた数字のなかでも最も大きなものをクリアしつつある。指揮官はタイ戦後の会見で、久保にこう言及している。
「この2試合で質の高さ、決定力の高さを見せてくれた。素晴らしい2ゴールをあげて、アシストも決めてくれた。私の起用に対して、彼自身が(期待を)裏づけしてくれた。若くしてこのようなプレーができる選手を発見できたので、さらなる進化を期待したいし、成長を続けてほしい。
ただ、守備を含めてたくさん走っていたので、最後は試合から消えかかっていた。それもあって、彼にはフィジカルコンディションをもっと上げるように要求している。代表のサイドのポジションはアップダウンが激しいので、そうしないと役割を果たせないからだ」
現地時間2日からは、リーグ優勝をかけた上位6チームによるプレーオフが幕を開ける。前出の衝撃的なドリブルからのゴールなどで最終節を勝ったことで、ヘントはプレーオフ出場を決めている。
「(スイスとは)スタイルも違うので、あまり比べられないと思いますけど、まあ似たような感じですかね」
こう語る久保は、おそらくヘントで結果を残すことで、さらなるステップアップを狙っているのだろう。日本代表における活躍も、輝きを放ちつつあるサッカー人生にもちろん相乗効果をもたらす。
「目に見える結果が出たことはすごくよかったと思いますけど、これからかなという感じですね。僕らの世代がもっともっと出て来ないといけないし、その意味でももっと活躍していかないといけない立場なので。上の世代を含めて、刺激を与えられるように頑張っていきたい」
浮かれるような素振りは、ほとんど見せない。ピッチとは対照的な、寡黙な立ち居振る舞いは古風なサムライを想像させる。ハリルホジッチ監督を魅了し、本田や長友、岡崎らのベテラン勢を刺激する世代交代の旗手を演じ、リオデジャネイロ五輪世代をもけん引しながら、久保は成長を続ける。
(取材・文:藤江直人)
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