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柴崎岳のポジション確保を確信できる理由。同タイプの不在。カギは“2部特有”の激しさ【現地記者の目】

text by ラモン・エルナンデス photo by Getty Images

適応には時間が必要だが、中盤でチームに貢献できる

柴崎は徐々にチームに馴染んでいる
柴崎は徐々にチームに馴染んでいる【写真:Getty Images】

 その1週間後、こちらも昇格に向けた直接のライバルとなるカディスとのアウェイゲームでも柴崎は招集メンバーに含まれたものの、プレーすることはなかった。非常にフィジカル重視の試合であり、技術を武器とする選手にとってはチャンスに乏しかった。テネリフェはこのきわめて重要な一戦で勝利を手にすることができた。

 柴崎がすでに、自分に何が提示できるかの片鱗を垣間見せたことは間違いない。だがセグンダ・ディビシオンの持つインテンシティーの強さにより、スペインサッカーへの適応にはおそらく時間が必要にはなるだろう。このリーグの実際のリズムに慣れる必要がある、とマルティ監督が口にしていた意図もまさにそこにある。

 試合のインテンシティーやフィジカルの強さだけではなく、柴崎がデビューを果たしたこの時期は、リーグの全てのチームのコンディションが万全の状態にある時期でもあったためだ。シーズンのラストスパートを迎え、どのチームも一つひとつの試合に大きなものを懸けて戦っている。

 それでも、柴崎はそう遠くないうちにレギュラーチーム内にポジションを確保できるという確信を抱くことができる。彼のパス出しのスムーズさや明確さ、サイドでもトップ下でも中盤でもプレーできるユーティリティー性は、100%の状態でありさえすれば、非常に貴重な貢献をチームにもたらし得るものだ。そういうタイプの選手はマルティ監督のチームに存在しないためでもある。

(取材・文:ラモン・エルナンデス【テネリフェ/マルカ】、協力:江間慎一郎)

【了】

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