ミランとの契約は今夏で満了。代表キャリアの命運を左右する次なる環境
確かに代表で苦境に陥ったタイミングは先輩とは異なる。俊輔はコンディション不良とチームの戦い方の変化が南ア直前に集中したが、本田の場合は本番までまだ1年以上ある。
「最終予選の主力=本大会メンバー」という方程式が成り立たないことは、南アでも2014年ブラジル大会でも実証されている。本田にしてみれば、残された期間で輝きを取り戻せれば、ロシアでのリベンジを果たすという大目標には到達できるということなのだろう。
ただ、久保の成長スピードは予想をはるかに超えている。今回は出番なしに終わったがスピードという武器を持つ浅野拓磨(シュトゥットガルト)もいるし、未招集の選手には欧州で数字を残している南野拓実(ザルツブルク)らも控えている。
タイ戦で露呈したボランチの選手層の薄さとは対照的に、日本は2列目の選手層はとにかく厚い。「本田でなければならない理由」を示さない限り、世代交代に飲み込まれる可能性も大いにあるのだ。
11月のサウジアラビア戦(埼玉)から3試合連続スタメン落ちという厳しい現実を踏まえ、タイ戦後の本田は発言を控えた。ハリルホジッチ監督の志向する戦い方に疑問を抱いていることは口にしながらも、「僕の状況が好転してから話せばいい。そのタイミングを考えたい」とまずは自分の状況を改善することを第一に考えていくつもりのようだ。
ミランでの今季終盤は依然として険しい道のりだろうが、次に赴く環境が彼の代表キャリアの命運を左右することは間違いなさそうだ。
(取材・文:元川悦子)
【了】