ハリルは本田を高く評価も…ポジションが見つからない実情
そのベテラン勢の中でただ1人、取り残される形となったのが本田圭佑(ミラン)だ。今季のリーグ戦で5試合(うち先発1試合)しか出場しておらず、試合勘の部分が自分自身でも未知数であることを打ち明けている。
「サッカーって、大げさに言ったら10cmでゴールになったり、ボールを失ったり、ボールを取れたり、失点したり。この10cmを『感覚』って呼ぶのかなと僕は思ってる。この10cmは逆にこれでもかって準備してもダメな時はダメやし、当然試合をやってなかったら『やってみないと分かんない』ってなるよね」
本田の実績を高く評価するヴァイッド・ハリルホジッチ監督といえども、この状態では先発起用できない。UAE戦では久保が新天地ヘントでの7試合5得点の勢いそのままに凄まじい輝きを示したこともあり、タイ戦もスタメン返り咲きは叶わなかった。
66分に原口元気(ヘルタ)と交代出場するチャンスが与えられ、2戦連続で試合途中からピッチに立ったが、置かれた位置はハリル体制初の左サイド。「自分が左に行くかと思ったけど、本田さんがそのままステイしていたので、僕も右サイドのままだと思いました」と久保も戸惑いを打ち明けたが、本田自身にとってもサプライズだったに違いない。
左利きの彼にしてみれば、左サイドに陣取れば中にカットインしてシュートに持ち込むのは難しくなるが、逆に外から回り込んで突破やクロス、フィニッシュに絡めるようになる。実際、69分には酒井高徳(HSV)からパス受けて強烈なシュートを放ったが、惜しくもGKに防がれてしまう。80分にも左サイドをドリブルでえぐってファーサイドの久保につないだが、これも得点にはならなかった。
結局、指揮官は84分に久保と宇佐美貴史(アウグスブルク)を投入した段階で本田を右サイドに移動させたが、ハリルホジッチ監督にとっては「左で使える」という確証は持てなかったのではないか。
試合後には指揮官と本田が話し込む場面も見受けられた。「どうにかして本田を使いたい」というハリルホジッチ監督の思惑は随所に感じられるが、現状ではそれに相応しいポジションと役割が見つからないのが実情なのかもしれない。