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ハリルJ、顕在化したボランチの人材難。キャプテン長谷部の後継者を探せ

text by 編集部 photo by Getty Images

長谷部
長谷部誠(中央)の後継者を探さなければ…【写真:Getty Images】

 本田圭佑の代わりはいるのか、守護神を誰にするのか、香川真司や清武弘嗣が…そんな議論がすべて些細なものに思えるほど、日本代表の根幹に関わる巨大な問題がある。それは「長谷部誠の存在の大きさ」だった。

 代表合流前のリーグ戦で右ひざを負傷した長谷部は、日本で手術を受けて長期離脱が決まった。6月のシリア戦(親善試合)とイラク戦(W杯最終予選)の出場も絶望的な状況となっている。

 そんな中、23日と28日の2連戦では長谷部抜きでいかに戦うかが試された。UAE戦では山口蛍をアンカーに置き、香川真司と今野泰幸がインサイドハーフに入る4-1-2-3の布陣、タイ戦では山口と酒井高徳がダブルボランチを組む4-2-3-1が採用された。

 しかし、この2試合で長谷部に代わるボランチが見つかったとは言い難い。今野はUAE戦で傑出したパフォーマンスを披露してインサイドハーフにおけるひとつの解決策を提示したが、負傷で離脱を強いられた。結果的に2連勝した一方で、「長谷部不在」という問題はより大きくなったとも言える。

 山口はピッチを広く動いてあらゆる局面に絡もうとするタイプで、良くも悪くもボールに食らいつく傾向がある。そのため中央でどっしりと構えて防波堤になることが求められるアンカーを務めるには動きすぎてしまった。タイ戦で確認できたのは、やはりダブルボランチでこそ生きる選手であることだ。

 酒井高は本職がサイドバックだけに、視野の広さと落ち着きが足りない。サイドバックでは180度の視野を確保すればよいが、ボランチに入れば常に360度を見渡していなければならない。ハンブルガーSVで中盤に入っているとはいえ、日本代表のスタイルには合わなかった。

 おそらく展開が速くスペースのある状態でボランチを務めることはできるが、ディフェンスラインからボールを引き出し、広角にパスを通していく必要のある日本代表ではボランチで経験のない選手が力を発揮するのは難しいだろう。

 長谷部のように常にピッチを俯瞰で観察し、試合の流れを読みながら周りを動かしていける能力のある選手は少ない。一定以上の守備力とパス能力、精神的な強さを兼ね備えたキャプテンの代わりを務められる人材は、今の日本にいるだろうか。

 現在33歳の長谷部にいつまでも頼ることはできない。海外組やJリーグの選手も含め、次の世代を担うボランチの発掘は急務だ。

【了】

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