内容以上の結果を出した決定力
ここからはポジティブな話。今回の予選は力の差が縮まっている。前回予選のように日本が相手を圧倒して、あとはシュートが入るかどうかという力関係ではない。相手を分析し、その長所を削り取り、わずかでも上回って勝ち点を積み上げていく丁寧な戦い方が求められる。その点では、UAE戦に続いてタイ戦も予定どおりといっていい。
GK川島永嗣は圧巻。PKストップのほかにも美技を連発した。所属のメツでほとんど試合に出ていないのが信じられない出来である。試合勘を欠くということでは本田を招集したこと自体が驚きだったが、時間限定にせよチームに落ち着きをもたらすプレーを見せ、同様に長友佑都も安定していた。招集した監督の判断には疑問もあるが、呼んだ選手の見極めは確かだった。
リズムに乗れない時間があったとはいえ、久保の高精度のクロスから香川と岡崎慎司がゴールして2-0。後半に久保が強烈なシュートで3-0として安全圏に。ゲームをコントロールできるようになり、清武弘嗣のピンポイントCKから吉田麻也のヘディングが炸裂して4-0。ここ2戦の吉田の安定感も抜群だった。
ホームのサウジアラビア戦でベースができた日本だが、その後の2試合でさほどベースアップはできていない。改善点もずいぶんある。対応策には付け焼き刃感もある。それでも日本が劣勢だったわけではなく、勝つべくして勝ったとはいわないまでも、僅差勝負を制するためのプレーをし、内容以上のスコアを叩き出した決定力は追い風である。
(取材・文:西部謙司)
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