所属クラブとは異なる酒井高のボランチの役割…固定的な起用はリスクに
例えばCBからボランチへのパスミスは彼のイメージとのズレが生じていたことが大きい。今回のタイ戦に向け急きょボランチを任されることになった酒井高は「ハンブルクではボールが上に飛んでいることが多い」と所属クラブでの役割と代表で求められる仕事の違いに戸惑いを見せていたことを認める。
「監督がどういうサッカーしたいかとか、ボランチにどういうこと要求してるかは常に聞いてるから、だいたいは理解しているつもりですという風には言ってたし。今日もできるだけ顔を出そうと思ったんですけど、ミスもあったり少し勇気が足りなかった。ボランチにつけるところだったり、ボランチ同士のパス交換だったりっていうのが少なかった」
そうした共有の部分や全体としてのバランスワークは経験がものを言う部分も大きいが、“チームの心臓”と言われるボランチの重要性をあらためて認識させる試合でもあった。
酒井高のボランチ自体はここから先に彼の“デュエル”の強さやボールを持たれる時間の方が長い相手に対して有効なオプションになり得る。今回のように直前にけが人が出た場合など有事に対処するための選択肢としても有効だが、固定的に考えるのはリスクが大きすぎることはタイ戦で証明された。
やはり基本的には本職のボランチでの組み合わせを想定していきたいが、右膝を手術した長谷部はもちろん、UAE戦の最中に左足の小指を骨折していたことが判明した今野も「生半可な気持ちで来てはいけない。相当な覚悟を持ってこないといけない場所」と語るように、イランで行われる6月のイラク戦には万全の状態で間に合わない可能性も想定しておくべきだ。
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