喉を枯らし、後方からチームを束ねる吉田。「僕には僕ができるリードの仕方がある」
吉田は、タイ戦でも長谷部に代わってキャプテンマークを巻くことが有力視される。「麻也君は試合中、ずっと声を出して前に指示を与えていた」と昌子源(鹿島)も話していたが、UAE戦の吉田は主将として、守備陣のリーダーとして喉が枯れるまで叫び続け、力強くチーム全体をけん引していた。今回も同等かそれ以上の存在感を示してくれれば理想的。今の彼ならそれができるはずだ。
「僕は長谷部誠にはなれないし、僕には僕ができるリードの仕方があると思う。別にハセさんみたいにムリして振る舞う必要はないと思いますし、自分が信じる道、正しいと思うリーダーシップを出していければいい。今回は(UAEでいい試合をしたことで)集中力を欠きがちな試合になる可能性があるんで、コーチングでしっかりチームをリードしていきたい」と本人は長谷部との比較を一蹴。
まずは声を出し、後方からチーム全体をスムーズに動かすという自分ならではの方法で、日本代表をまとめていくつもりだ。
所属のサウサンプトンではズラタン・イブラヒモビッチ(マンチェスター・ユナイテッド)やロメル・ルカク(エバートン)といった世界最高クラスのアタッカーと常日頃から対峙しているだけに、アジアレベルのFW陣を向こうに回しても決して動じない。UAE戦での圧巻なパフォーマンスは、イングランド5シーズンの高度な経験値が凝縮されたものだった。
本人は「準備をすること自体は(試合に出られなかった)去年も一昨年もやってたんですけど、チャンスをつかめなかった。今は試合に出ていますけど、パフォーマンスが落ちればすぐにポジションを奪われる可能性もある。今もこの先も『ポジションを奪った』っていう感覚は持つことはないと思います」と強い危機感を募らせる。
今の吉田が「この男がいれば日本の守備は大丈夫」というオーラを漂わせているのも、ギリギリの緊張感の中で日々を過ごしていることが大きい。