キャティサック・セーナムアン監督【写真:舩木渉】
28日に行われるロシアW杯アジア最終予選で日本代表と対戦するタイ代表が、27日に前日会見を行った。同国のキャティサック・セーナムアン監督は、「勝ち点1でも素晴らしい結果」と、日本戦に向けての意気込みを語った。
タイ代表はグループBで最下位に位置しており、本大会出場は厳しい状況だ。タイ陣営はその状況を理解しており、「日本はこのグループで最も強いチーム。アウェイでUAEに勝ち、タイにとってはさらに難しくなった。ただ、タイには気持ちや魂がある。素晴らしい試合をしたい」とキャティサック監督は話した。
日本戦が格上挑戦であることは明らかで、同指揮官は「勝ち点3を獲得できたら本当に素晴らしいが、勝ち点1でも持ち帰れたら大きな結果」と考えている。
そのため、リスクを冒すことはなさそうだ。前節サウジアラビア戦ではアグレッシブな戦いを見せていたが、「ホームだったので勝ちを狙った。それに1点を先制されたから、攻撃的にいくしか選択肢がなかったんだ」とのこと。それでも「日本にとっての登らなければならない大きな山になりたい」と全力を尽くすことを誓っている。
タイ代表には、日本とは違うモチベーションがある。指揮官は自身の経験からそれが分かっているようだ。
「日本戦は選手にとって夢のような体験だ。私自身も1992年に三浦(知良)やラモス(瑠偉)がいた日本代表と戦ったことがある。日本との対戦は、アジアのベストチームとの対戦なんだ。それに、このスタジアムは2002年W杯の舞台にもなった歴史的なところだ。選手たちには楽しんでほしい。楽しんだうえで、素晴らしいプレーをみせてほしい」
“タイのメッシ”ことMFチャナティップ・ソングラシンは、7月にコンサドーレ札幌に加入することが内定している。キャティサック監督は、これもタイが次のレベルに進むための一歩だと考えている。
「タイにこういった才能のある選手がいることを見出してくれた札幌に感謝したい。Jリーグのファンの皆さんに、しっかりとしたタイの選手のクオリティを見せるチャンスだ。そして、将来的にはもっとJリーグでプレーする選手が増えてほしい。11人でもいい。我々は20年前の日本と同じ夢を持っている。それはつまり、タイは将来的にW杯に出場したいということだ」
キャティサック監督は、タイ代表の歴代最多得点記録や歴代最多出場記録を持つ同国のレジェンド。自国のサッカー発展を願い、強い気持ちで日本に立ち向かってくることが予想される。
(取材:舩木渉、文・構成:編集部)
【了】