“初体験”となった代表落選。ルーニー不要となったイングランド
3月23日付け『ガーディアン』紙にあった「ウェイン・フー?」の見出し。それも、ドイツとの親善試合レポートを補足する囲み記事の小さな見出しだ。「そんな選手いたか?」と言うかのようなこの見出しが、ウェイン・ルーニーに関するイングランド代表での立ち位置と母国民の見方を物語る。
31歳の代表キャプテンは、前夜の試合で招集メンバー自体から漏れていた。イングランドは数度のチャンスを逃して惜敗(0-1)。かといって、これまでに出場した119試合で53得点を代表にもたらしている、過去10年来の主要得点源の不在を嘆く声はなし。それどころか、国内メディアでは「ルーニー後」の夜明けが前向きに報じられた。
代表落ちそのものは大々的に伝えられた。3月後半の国際マッチ週間を前に、ガレス・サウスゲート新監督がメンバーを発表した時点では、「『ルーニー不要』と、サウスゲート」との見出しを打った『ミラー』紙をはじめ、指揮官の判断が「容赦なし」と表現された。出場可能なコンディションにもかかわらずの落選は、2003年に始まった代表キャリアで初体験である点も指摘された。
但し、それらの報道に同情的なトーンは感じられなかった。キャプテン指名を受けた2年半前からはメディア対応にも責任感を増したイングランドの「元至宝」には、母国人記者の中に「味方」も多い。だが、その彼らも援護射撃のしようがないといった状態だろう。