異色すぎる経歴を持つサッリ…どのようなキャリアを辿ってきたのか?
1959年1月10日、ナポリに生まれる。もっとも父親の仕事の関係で、育ったのはトスカーナ州のアレッツォ近郊にあるファエッラという小さな街だ。地元のクラブでサッカーをしていたが、その時点で選択した進路はプロではなかった。大学に進学し、経済学や統計学を学んだのちに、トスカーナ銀行(のちにモンテパスキ銀行に吸収)で働き出す。仕事が終わった後に練習に行き、週末の試合に臨むような、そんなアマチュアプレーヤーの一人だった。
しかし当時から頭脳派プレーヤーとして、チームの中では信頼があったという。所属していた地元クラブのスティア(当時第8部)では左サイドバックを務め、戦術上のコーチングをして“ピッチ上の監督”として振る舞う。ある日クラブからはプレイングマネージャーを打診されるが、それを固辞し現役を引退、関心は指導に向いた。
それが1990年の話で、そこから『銀行員監督』のキャリアがスタートした。銀行では銀行間信用取引や企業間取引を担当し、イギリスやドイツ、スイスにルクセンブルクなどの金融の中心地に赴くことも多数。余暇には、サッカーの指導とその研究に没頭していた。
対戦相手のビデオはきちんと収集し、戦術は緻密に立てる。試合から逆算してコンディショニングを図り、中長期的なトレーニングプランを練るなどプロ顔負けの指導を行なっていたという。
当然、高水準の指導を受けたクラブは好成績を挙げた。サッリはスティアを率いたのち、地元クラブのファエッレーゼを9部から7部に上げ、7部にいたカブリーリアやアンテッラを6部に昇格させる。そして2000年から所属した当時6部のサンソビーノの監督に就任すると、1年目にしてなんと第5部相当(当時。カテゴリーの改変により現在は4部)のセリエDに昇格させたのだ。