3トップには課題も。見極めていきたい“取り扱い”
この試合はオマルの自由を封じるという目的があり、サイドから果敢にドリブルを仕掛けるエル・ハンマディを警戒する必要があった。長友佑都と酒井宏樹の両サイドバックが最終ラインからの飛び出しを自重していたことも、攻撃がより“前輪駆動型”に特化した事情かもしれない。
ただ、試合はこのまま2-0の勝利を収めたので問題ないが、いかなる試合、いかなる時間帯でも、型がはまらなかったら終わりというのは危険だ。
「サイドバックも今日はわりと相手の反撃、カウンターのためにあんまり参加していなかったので、そうなると必然的に前の3人であったり、速い攻撃が求められると思うし、そこがこのチームの1番の強みになりつつある。そこは割り切ってやるしかないですけど、そういう(ポゼッションで崩す)時間帯も必要なのかなと思います」
そう語る香川は、速い攻撃が主体となる中で味方が奪ったボールを最初に受けたり、味方が潰したこぼれ球をいち早く拾ってつなげたりと、無駄なボールロストを生じさせず攻撃につなげる役割を果たしていた。
一方で縦横無尽のハードワークで攻守に絡んだ今野、中盤の底でバランスを取り続けた山口蛍という中盤のバランスも悪くなかったが、時間帯によってより安定感と厚みのある関わり方をしていけばチームとしての機能性も高まる。
ハリルホジッチ監督は攻守の切り替えや裏への意識、デュエルといったベースを就任時から高め、この最終予選になって対戦相手をしっかりスカウティングして準備する方法を取り入れてきている。
おそらくタイ戦にはまた違った選択が用意されるだろうが、前線で攻め切ることができる3トップの強みをどう活かし、あるいは状況に応じてどう補っていくのか。さらなる戦力の台頭に期待しながらも、その“取り扱い”は今後見極めていきたいポイントだ。
(取材・文:河治良幸【アル・アイン】)
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