香川と抜群の関係性を見せた今野。攻撃のリズムもたらす
その後、タイトマークに嫌気がさしたオマルが左サイドや中央へ移動。代わって右に入ったイスマイール・アルハマディに起点を作られるようになる。一度は決定機も作られたが、高度な経験値を買われて10ヶ月ぶりの代表戦ピッチに送り出された川島永嗣(メス)の好セーブを披露。ゴールを割らせない。
苦しい状況の下でも今野は攻撃の姿勢を忘れず、香川真司(ドルトムント)とともに高い位置を取りながら厚みを加えていく。2人が確実にボールをキープして攻めのメリハリをつけるシーンも見られ、これまで単調になりがちだったハリルジャパンの攻撃とは明らかにリズムが違っていた。
「速い攻撃だけじゃ難しいというのは試合前から真司と話していたこと。自分たちのリズムになった時にはしっかりボールをつなぎながら、落ち着かせることも大事だと。それを真司とお互いにできたかなと思います」と今野は前向きに言う。
香川の方は「自分たちで攻める時間を作らないといけない」とやや辛い評価をしていたが、先制点をお膳立てした酒井宏樹(マルセイユ)へのタテパスに象徴される通り、起点となるボール出しは十分できていた。
今野との関係性はある意味、昨季前半戦のドルトムントでイルカイ・ギュンドアン(現マンチェスター・シティ)と組んだインサイドハーフコンビを彷彿させるものがあった。
これまでの彼は「お膳立ても得点も全て自分がやらなければならない」と力みがちだったが、今回は今野と組み立ての仕事を共有し、久保、原口、大迫勇也(ケルン)の前線3枚にフィニッシュを任せるような割り切りも見られた。
クラブと代表の役割が近くなれば、2つのチームを掛け持ちしても戸惑わなくて済む。もちろん相手との関係もあるが、今野の代表復帰、4-3-3へのシフトは香川にとっても光明になりそうだ。