エース躍動の裏で突きつけられた課題。チーム一丸で一歩ずつ前へ
エースは必ず標的にされる。それでもアルビレックス戦では主導権を握り続けたからこそ、作り出したチャンスを確実に仕留めなければいけないとマルティノスは力を込める。
「試合内容だけを見ると、4連勝していてもおかしくない。アントラーズ戦でもチャンスを作り出したなかで、得点できなかったことが課題だった。チャンスがあるときに勝ち切らないと、これからの戦いは難しくなる。決定力の部分をしっかりと向上さえながら、勝ち点につなげていきたい」
アルビレックス戦ではヴィエイラが2度の決定的なチャンスを逃した。故障から復帰した齋藤も前半36分にカウンターから抜け出して、ハーフウェイライン付近からペナルティーエリア手前まで疾走。相手守備陣を翻弄しながら放った右足からのシュートはしかし、GK大谷幸輝に防がれてしまった。
ホームで2試合ぶりの勝利を手にすることはできなかった。もっとも、負けたわけではないからと、齋藤は試合後に努めて前を見すえた。
「引かれた相手に対して何度かチャンスを作れたし、途中から入ったケイタ(遠藤渓太)やナオキ(前田直輝)、ショウ君(伊藤翔)も勢いを出してくれた。あとはゴールを取るか取らないかの、ほんのちょっとのところなのでポジティブにとらえたいし、一喜一憂するよりもいまやっているサッカーをしっかり進めていくことが大事だと思う」
ヴィエイラや伊藤翔、23歳の富樫敬真を含めた前線の選手たちの決定力の向上。齋藤を封じられたときの新たな攻撃パターンの構築。進んでいる方向は間違いない中で、突きつけられた課題をどのように克服していくのかという点に、一気に若返った新生マリノスの浮沈もかかっている。
(取材・文:藤江直人)
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