やっと決まった初ゴール。4年間を過ごした古巣相手に
ゴールを決めた後、歓喜に沸くサポーターのもとへ駆け寄った男は、両手を合わせていた。
「ごめん」
移籍してから初めてのゴール。当然溢れる喜びを全身で表しても良い場面だったが、謝罪の言葉が聞こえてくるようだった。
今季からFC東京でプレーする大久保嘉人は、J1第3節のガンバ大阪戦に敗れた後、悔しさのあまりユニフォームを脱いで投げ捨て、蹴り上げた。本人はのちにブログで「支えてくださっている方々、一緒に戦っている仲間に対して、申し訳なく思っています」と謝罪したが、“やってはいけないこと”をしてしまった。
そして迎えた18日のJ1第4節、川崎フロンターレ戦。大久保にとっては多摩川クラシコである以上に、古巣との特別な試合であり、FC東京ファンに“トーキョーの男”である姿を見せなければいけない試合だった。
4シーズン連続15得点のストライカーが、開幕から3試合ゴールを挙げられていないというのも焦りを加速させていた。
迎えた川崎フロンターレとの多摩川クラシコ。FC東京は前半をスコアレスで終え、終盤に差し掛かった76分、大久保のスルーパスを起点に阿部拓馬が相手GKチョン・ソンリョンのオウンゴールを誘って先制。86分には大久保よりも後に加入したピーター・ウタカが初ゴールを奪った。