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小林祐希が拓いた新境地。ヘーレンフェーンの“頭脳”、実力で引き寄せた厳しいマーク【海外組の真価~日本人選手の現在地】

これまで日本代表をけん引してきた選手たちが所属クラブで出場機会を失い、踊り場にあるように思える日本サッカー。いま改めて海外組の現在地を探っていきたい。今回取り上げるのは、ヘーレンフェーンの小林祐希。3月の日本代表メンバーからは漏れてしまったが、オランダではヘーレンフェーンの絶対的主軸として活躍し、各方面から高い評価を獲得している。渡欧から約9ヶ月、オランダで新たな境地に達しつつある司令塔の今に迫る。(取材・文:中田徹)

text by 中田徹 photo by Getty Images

「コネクティングMF」としてヘーレンフェーンの頭脳に

小林祐希
ヘーレンフェーンの中心選手に成長した小林祐希【写真:Getty Images】

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 2月25日に開催されたヘーレンフェーン対ローダJCの前半は少し退屈なものだった。冬になり芝が荒れ、ピッチ状態が悪い中、ヘーレンフェーンの選手はミスパスを恐れて長いボールを蹴ってしまった。

 ハーフタイム、ユルゲン・ストレッペル監督は選手たちに「もっと早く、もっとたくさん、祐希にパスを出せ。祐希も声をもっと出してボールを要求するんだ」と指示を出した。後半、小林祐希がボールにたくさん絡むようになってから、試合の流れがヘーレンフェーンの方へ傾いた。

 後半一気にゴールを固め取りしたヘーレンフェーンは3-0で快勝した。試合後、ストレッペル監督は「祐希はうちのチームの頭脳。他の選手が気付かないスペースを、彼は見ている」と小林の後半のパフォーマンスに唸っていた。

 オランダサッカーへの小林の適応力は目を見張る。ジュビロ磐田時代は5-3-2あるいは4-5-1フォーメーションのトップ下として活躍した小林を、ストレッペル監督は4-3-3フォーメーションの“コネクティングMF”に抜擢した。

 日本では聞き慣れないこのポジションは、チリ代表のアルトゥーロ・ビダルのように中盤で攻撃にも守備にも絡む非常に難しいものだが、小林はすぐにコツを会得してアンカーのスタイン・スハールスと素晴らしいコンビを組んだ。

 そのスハールスが負傷離脱した今年の1月、小林はアンカーにコンバートされ、チームの要として存在感を増している。また、負傷者の発生、交代要員の関係もあって左サイドバック、センターバックに入った時間帯もあった。

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