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セリエA 8年前

戦術大国イタリアのトレンド。もはや“カテナチオ”だけではない、監督たちのマニアぶり

text by 神尾光臣 photo by Getty Images

DFラインで行われる攻撃の組み立て。速攻重視のチームも

ボヌッチ
ユベントスのレオナルド・ボヌッチのようにDFラインから組み立てができるセンターバックが重宝される【写真:Getty Images】

2.後方での組み立てと縦への速攻

 前線はともかく、中盤にもスペースがない。そのために組み立ては、DFラインから行うようになった。ユベントスのレオナルド・ボヌッチやフィオレンティーナのゴンザロ・ロドリゲス、またナポリのラウル・アルビオルなど足技の上手いセンターバックを配置することはもちろん、そのような人材がいなくとも、フォーメーション練習を通して後方からの組み立てが叩き込まれるようになった。

 そして、ハーフウェイライン上からは手数を減らし、縦への速攻を仕掛ける。前述の通り高い位置から組まれた相手の守備組織を破るためだ。今季のインテルは、そのトレンドに沿って復調した。デ・ブール監督の時代は高い位置でのボールポゼッションを敷いたものの、相手のプレスに捕まっていた。

 一方で後任のステファーノ・ピオーリ監督は縦へのスピードを重視。前線の選手はもとより、サイドバックにも高い位置でボールを奪いに行くことを奨励し、一度奪えばイバン・ペリシッチやアントニオ・カンドレーバを縦に走らせて一気に攻め込ませる。インテルの緩慢な攻撃はこのようにして解消された。

 ルチャーノ・スパレッティ監督率いる今のローマもまた速攻を重視している。トップ下にはテクニカルなアタッカーではなく、激しく相手に当たりに行きながら前線に飛び出していけるラジャ・ナインゴランを用いて、守からへ攻へ転じるテンポの向上を図っている。また上位争いに堂々と食い込んでいるラツィオも、このトレンドに沿ったチームだ。彼らの場合は両センターバック、またアンカーのルーカス・ビリアから縦一本にパスを出し、高速アタッカーを走らせる。

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