長谷部不在をプラスに変えられるか。問われる選手層と応用力
そこで浮上するのは清武だが、彼は2012年のロンドン五輪代表、ハノーファー、セレッソ大阪で山口蛍と戦ってきた時間が長く、気心も知れている。山口とのコンビという意味では誰よりもいい連携が期待できる。最近ケガから復帰したばかりでコンディション面の不安を抱えているし、守備力では今野より劣るが、思い切って彼を下がり目で使ってみる手は有効かもしれない。
4-2-3-1システム以外へのシフトに二の足を踏みがちなハリルホジッチ監督だけに布陣変更は最後の手段だろうが、もしトライしてみるつもりがあるなら、山口のアンカー起用というのも選択肢の1つ。
インサイドハーフに清武と香川を配置し、サイドに久保と原口を据え、1トップに大迫か岡崎慎司(レスター)を置くという形は一案として考えられる。香川も今季のドルトムントではインサイドハーフをしばしばこなしているし、清武と相互補完できれば攻めと守りのバランスも取れる。ただ、わずか3~4日の準備期間しかないことを考えるとシステムをいじるのはリスクが大きい。そこは熟考が必要だ。
このように長谷部の穴埋め策は複数のアイディアがある。どれを採ってもリスクはゼロではないが、絶対的ボランチが使えない以上、ハリルホジッチ監督は重要な決断を迫られる。
「誰かが抜けたからチームが変わるようじゃ、この代表はたぶん上まで行けない。誰かが変わっても自分たちの根本は変わらないようなサッカーをやれなきゃいけない」と岡崎は神妙な面持ちで話したが、今回のUAE戦で日本はそれだけの選手層と応用力を問われることになる。長谷部不在を逆に好機と受け止めて、斬新な選手起用、あるいはシステム変更を見せてほしいものだ。
(取材・文:元川悦子【アル・アイン】)
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