劣勢で光った“香川のターン”。唯一無二の武器が生き残りのカギに
香川真司は“ターン”を武器に個性豊かな集団の中で生き残りを図る【写真:Getty Images】
最終的にドルトムントはインゴルシュタットに1-0で勝利したが、辛勝だった。守備面での課題を露呈し、残したまま、代表ウィークに突入することになった。
そんな決して簡単ではなかったインゴルシュタット戦で、香川は、オーバメヤンの先制点に繋がる光るプレーを見せている。13分、ハーフウェーライン付近でゲレイロからのパスを受けた香川は、ターンして、マルビン・マティップを交わすと、マルセル・シュメルツァーが走る前方のスペースへパスを出す。シュメルツァーの左からの折り返しを、ニアサイドでオーバメヤンがダイレクトで押し込む。
この一連の流れについて、香川は次のように振り返った。
「ラファ(ゲレイロ)から縦パスが入ることは意識して待っていたので、相手も食いついてくるなと思ったんで、うまくターンできましたし、そこからの流れはうまく崩せたと思うし。いいゴールだったと思う」
香川と言えば、ターン。素早くターンして敵をおちょくるくらいに交わし、チャンスを演出することが、何よりの香川らしさだったはず。いつしかそうした“香川のターン”は影を潜め、どこかバックパスを選択しがちだったが、インゴルシュタット戦では、見違えるような積極性がピッチに現れていた。
そして試合後に、香川は意気込んだ。
「最終的に個性あるチームの中で生き残っていくために、自分というものをもっともっと表現したい」
この先も続く試合で、“香川のターン”を随所に発揮していくことが、「最終的に個性あるチームの中で生き残っていく」ことに繋がっていくはずだ。
(取材・文:本田千尋【ドルトムント】)
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