指揮官が抱く危機感。若手は一層の奮起を
UAE戦だけでなく、今後のイラク戦やサウジアラビア戦もアウェイでの難しい戦いが予想される。残された少ない時間でより高いレベルで世界と戦うチームを作れるかが、W杯出場権獲得の行方を左右する。
ただ、予選を終えた後の戦いを考えれば、経験豊富なベテランだけでなく、将来を担う若手の台頭も不可欠。技術的に非常に高いレベルにある選手も多いだけに、ハリルホジッチ監督の言う「精神面での準備」が鍵になるだろう。
「W杯に出場するということはスポーツの面だけでなく、選手たちにとっても非常に大きなことになると思う。なぜなら前回のW杯で大きな傷を負ったからです。前回のW杯の悪い思い出を消すためには、まず今回のW杯に出場すること。日本サッカー界のことを考えても非常に重要な時期に差し掛かっていると思います。代表はその国のサッカーを反映するものです。それを見せるのも代表に責任があります」
今回メンバーから外れた選手たちは、ここで何を思い、どう行動に移していくのか。ハリルホジッチ監督はUAEのような手強い相手との戦いを絵を描いて、若い選手がその場にふさわしくないと感じたのだろう。一方で、現在のチーム作りには「経験を積んだ選手と若手の融合」というテーマも掲げられており、チャンスはそこかしこに転がっている。
指揮官の危機感とチーム作りにおける意図は、UAE戦とタイ戦という最終予選の重要な局面に向けたメンバー発表で明確に示された。W杯まで残された時間が1年しかないとなれば、この時期に若くて頼もしい選手が出てきてもよいはずだ。Jリーグでプレーする選手や若手選手たちには一層の奮起が求められる。「日本人であればJリーグでプレーしても海外でプレーしても、全員が代表候補」なのだから。
(取材・文:舩木渉)
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