誰よりも戦う準備をしていた本田。代役は見つからず
特にハリルホジッチ監督が名指しで信頼を強調したのは、本田圭佑と長友佑都の2人だ。彼らは所属するミランとインテルでともに出番が少なく苦しんでいるが、「この2人はヨーロッパでもビッグクラブにいる。そこでトレーニングするだけでも違うと思います。彼らの代表への意欲も感じました。ここ10年くらい、ずっと彼らが代表に入っています。プレーだけでなくその存在が重要だと思ってます」と、やはり経験の部分を評価されている。
ただ、「より良い選手が現れたら、私も彼ら(本田や長友)を呼ばないかもしれません」ともハリルホジッチ監督は語る。メンバーから外れた若い選手たちの奮起を待っているのだ。特に記者会見で名前を挙げられた大島僚太や井手口陽介、小林祐希、柴崎岳らはまだ世界で“戦う”準備ができていないと判断されている。
W杯出場権は誰かがプレゼントしてくれるものではなく、自ら勝ち取らなければならない。ハリルホジッチ監督はそのための準備は数年前からしなければならないと指摘した。その準備を周到にしてきたのが本田であり、長友であったということだろう。
ブラジルW杯を終えた直後からロシアW杯を見据えてきた本田は何をしてきたか。ミランではベンチ生活にも腐らず努力を続け、日本代表で先発を外れても、ベンチからチームメイトを鼓舞し、途中出場でも存在感を発揮した。
これだけでもハリルホジッチ監督が「本田の代わりをできる選手がいるのか考えなければならない」と言うわけが理解できる。常にピッチで戦う準備ができているのが、サムライブルーの背番号4だった。もし高いレベルで信頼に値する他の選手がいれば、本田の招集を見送る判断もできたはずだ。結局、本田に代わる選手はいなかった。
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