主力選手のラニエリに対する“造反報道”は真実だったか?
もちろん、ほかにも多くの識者がこの一件に関しては物申した。すでに方々で報道されているように、クラブOBで生粋のレスターファンであるガリー・リネカーは「間違った行いだ」と一刀両断し、解任のニュースが出た翌日に『BBC』のインタビューで「昨晩は涙を流した。クラウディオのために、フットボールのために、そして私のクラブのために…」と、クラブ、いやサッカーにおける歴史に残る偉業を果たした監督解任を憂いだ。
しかしこれらはあくまでノスタルジアであり、ロマンチシズムだ。上述したとおり、筆者も短絡的な監督交代には大反対なのは同じである。
だがラニエリ前監督のチームは瀕死の状態にあった。もともと「今季は残留がノルマだ」と話しており、オーナーも同意していたようだった。そのため、このターゲット成就に向けて指揮官には立て直しの機会が何度も与えられ、選手獲得のために十分な予算も渡された。しかしこれらのチャンスを生かせずに降格圏内にチームを引きずり込んだ張本人はラニエリ自身で、それに加えてそんな状況から抜け出す手立てがまるで見つけられなくなっていた。
過去の資料を見ると、優勝チームが翌シーズンに降格したのは1937/38シーズンのマンチェスター・シティの例があるのみだった。ラニエリ政権下最後のリーグ戦となった2月12日のスウォンジー戦もひどい内容だったが、さらにその後のFAカップでは、試合途中で退場者を出して一人少なくなっていた下部リーグ所属のミルウォールにも敗戦。そしてCLセビージャ戦も、終始相手ペースのまま1-2で負けていた。
また主力選手の造反が話題になった。これに対してGKのキャスパー・シュマイケルとエースストライカーのジェイミー・ヴァーディーは、「クラウディオを尊敬している。絶対になかったことだ」と反論したが、まるで影響がなかったとは考えづらい。
番記者から聞いた話を総合的にまとめると、一部選手がオーナーと対話の場を持ったのは確かのようだ。そこでは、あくまで推測になってしまうが、オーナーに聞かれた選手たちは現状に対する不安と不満について相談した。そこから先は経営陣の判断であり、選手側としては解任要求した覚えはないと考えてもおかしくはない。しかしオーナーとしては、選手の信頼を失ったと考えて早急な対応の必要性を感じたのではないだろうか。