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レスター、完全復活の要因。CL8強進出にリーグ戦も連勝。岡崎が語る超守備戦術からの「解放」

text by Kozo Matsuzawa / 松澤浩三 photo by Getty Images

超守備的戦術から「解放」された岡崎。レスターはリバプールに快勝

岡崎慎司
レスターの岡崎慎司【写真:Getty Images】

 その後1、2月は結果面においても一部メディアが「フリーフォール」と表現したように、順位表を真っ逆さまに下っていく。ボロ戦後はリーグ戦5連敗を喫し、その間得点はゼロ。勝てない以上に、あまりの内容の乏しさと戦術の定まらないラニエリ前監督の迷走ぶりに辟易させられたが、ピッチのうえの選手たちはより一層そう感じたに違いない。

 ラニエリ前監督解任後の最初の試合となったリバプール戦後、岡崎慎司は慎重に言葉を選びながら、ラニエリ政権の最終章についてこう触れている。

「(この試合で)とにかく整理したのは、相手チームじゃなくて、自分たちが前から行こうっていうこと。(これまでに足りなかったのは)前から行こうっていう、たぶん簡単なことだったと思うんですよ。でも、みんなもたぶん行きたかったと思うんですよね、心の中では。だからそれが解放されてというか。その辺はあったと思う」

 3-1で勝利したこの試合では、これまでとは大きく異なり、ハツラツと動き回る選手たちの姿があった。つまり、超守備的なラニエリ前監督のスタイルが足かせになり、積極性を失っていたのである。

 かくしてレスターのタイ人オーナーは、チャンピオンズリーグ(CL)のセビージャとのファーストレグの翌日に大ナタを振るったわけだが、英国メディアのほとんどはこのアクションを言語道断だと批判した。

 例えばガーディアン紙のチーフ・フットボールライター、ダニエル・テイラー氏は自身のコラムで、レスターのラニエリ前監督解任について、「選手が力を持ち過ぎで、監督とオーナーの間に信頼関係がなくなった。すべてはカネの時代になったから」と記している。

 確かに現代サッカーは資金力で大きくその状況は変わり、選手たちにもパワーが備わった。当然これを歓迎すべきとは考えづらいし、カネのせいでフットボールが悪くなった部分もあると思う。それでも、だ。実力の世界でラニエリ前監督は、2年目のレスターで自身の持つ力を発揮できなかった。もしくは、限界を露呈したのである。

 マンチェスターの両チームの試合を主に取材しているテイラー氏だが、ビッグゲームであればロンドンの強豪チームの試合に足を運び、当然今季は昨季王者であるレスターの試合にも訪れてる。レスターの本拠地であるキングパワーで何度かその姿を目にしているが、彼はいったい何を見ていたのだろうか。個人的には、レスターの戦いぶりをしっかりと見ていれば、このような結論には至らないはずだと感じてしまう。

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