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PR記事 8年前

“戦術的”になったプレミア。リーガは3強から混戦へ。最高峰リーグで見られる一大変化

text by 海老沢純一 photo by Getty Images

躍進のチェルシーとスパーズ。脅威の3バック

エデン・アザール
コンテ流3バックの象徴的存在であるエデン・アザール【写真:Getty Images】

 一方、チェルシーを率いるコンテ監督はイングランドにおいても、自らのスタイルで成功を手に入れようとしている。

 コンテ監督は、連敗を喫した第5節リバプール戦第6節アーセナル戦を機に4-1-4-1から3-4-3を導入。右からアスピリクエタ、ダビド・ルイス、ケーヒルが組む3バックとビクター・モーゼスとマルコス・アロンソのウイングバックを中心に守備が安定。27節終了時点で失点20はトッテナムと並んでリーグ最少の記録となっている。

 守備が安定すれば攻撃にも余裕が生まれる。ホームで行われた第9節マンチェスター・ユナイテッド戦では、43.9%という支配率ながら強固な守備とアザールを中心とした鋭い攻撃で4-0と大勝を手にした。

 そのアザールは、コンテ流3バックの象徴とも言える存在となった。3-4-3の左ウイングに入ったアザールは、昨季の不振から一転して本来の輝きを取り戻した。それは守備の負担が軽減され、エネルギーを攻撃へ集中することができるようになったことが要因と言える。

 前述のユナイテッド戦後は第11節エバートン戦で2ゴール1アシストを決めて5-0の勝利に導き、第18節ボーンマス戦ではパスで攻撃を操り、ドリブルで相手を翻弄して自ら得たPKを決めるなど攻撃の核として3-0の勝利に貢献し、データサイト『Who Scored』のレーティングで10点満点をゲットした。

 そして、ここまでのハイライトと言えるのが第24節のアーセナル戦。53分にセンターサークル内でボールを受けたアザールはドリブルで敵陣へ切り込むと、アーセナルのMFコクランのマークを弾き飛ばし、自らボールを運んでチーム2点目となるゴールをゲット。今シーズンのベストゴールとも言えるゴールを決めた。

 重心をやや後ろにして守備を安定させ、攻撃に余裕を持たせることでポゼッションもカウンターも機能させる3バックは「イングランドのサッカー」に対しても効果を発揮することが証明された。

 それは、すでにチェルシーだけでなく2位につけているトッテナムも導入している。トッテナムが組むダイアー、アルデルワイレルト、フェルトンゲンの3バックは強力でデル・アリとエリクセンの2シャドーはプレミア屈指のクオリティを発揮している。

 第20節に行われたチェルシーとの3バック対決を45.5%の支配率ながら2-0で制すると、続く第21節ウェスト・ブロム戦では72.9%と試合を支配して4-0と快勝した。

 これまで、スピードやパワーといった部分では世界でもトップクラスだったプレミアリーグだが、戦術的な部分では緻密さに欠けていた。今でも、コンテが持ち込んだ3バックを完遂できるのはチェルシーとトッテナムのみだろう。

 それでも、このチェルシーの人選は今後のプレミアリーグの監督人事に影響を与えるものになる可能性は高い。今後、プレミアリーグの戦術レベルは格段に上がっていくのかもしれない。

 その戦術レベルにおいて、世界最高峰のリーガエスパニョーラもまた、ターニングポイントともいえるシーズンを送っている。

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