再びローテーションにおける重要な一員に
さらに66分には、香川が“違い”をピッチに描いた。エリア内の左でパスを受けると、ファーサイドに向けて緩やかに弧を描くパスを送る。ゲレイロがヘディングで落としたボールを、シュールレが右足ダイレクトで突き刺した。
香川は、ロッテ戦にヘルタ戦の好調をそのまま持ち込んだ。ワンタッチでの正確なプレー、力強いドリブルからのチャンスメイク。GKと1対1に持ち込んでシュート。周囲との連係と連動を確保して、なかなか出場機会に恵まれなかった頃、例えば2月11日のダルムシュタット戦の時とはまるで違う姿を見せた。
そして何よりトゥヘル監督が、0トップに近い形ではなく基本形である[4-1-2-3]の布陣で先発フル出場させたことは、再び香川がローテーションにおける重要な一員となったことを意味するのではないか。実験的な戦術オプションに止まらない、ということだ。
8日に行われたベンフィカ戦からの連戦でチームに疲労が残る中、ロッテ戦でバイグルとオーバメヤンはベンチ外となるなど主力を休ませるところもあったが、それでもここ2戦でスタメンを勝ち取ったことは大きい。
もし先発を掴めず代表ウィークに突入してしまったら、CLのベスト8、ポカール準決勝のバイエルン戦と対戦相手のレベルが上がる4月からの終盤戦では、いよいよタイミングを逃してしまう。
83分にシュメルツァーが直接FKを豪快に突き刺して、ドルトムントはロッテに3-0で完勝した。トゥヘルは86分にイサクを“デビュー”させる余裕も見せている。
いよいよ香川が戦列に復帰した、ロッテ戦だった。
(文:本田千尋【ドイツ】)
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