中盤トライアングルの関係性向上で、さらなる攻撃の引き出しを
大宮には昨年の天皇杯で0-5と大敗を喫したものの、J2時代の2015年からリーグ戦は4試合連続ドローだった。いずれも磐田が先制点を奪いながら、追いつかれて勝ち点1を分け合う結果に終わった。
しかし、3月11日の磐田は違った。試合序盤にスコアを動かすと、無闇にボールを追い回さず、ブロックを作って対応。名波監督は「特に縦のスライドと中締めというのを押し出して守備を構築させた」と明かす。また「ピッチ内の温度で俊輔と川又がだいぶ後ろまで下がって来て危険なエリアを消してくれた」と前線の守備意識を称賛している。
「ラインもボックスのラインに揃えるわけではなく、まめにラインコントロールしていたので、相手も動かされた感じがあったのではないかなと」
決して自陣ゴール前に引きこもるのではなく、ボールを奪った後の攻撃のイメージも頭に入れていた。今の磐田の武器はカウンターとサイド攻撃だ。中村俊輔を中心に落ち着いてボールを繋ぎ、相手を崩しきって得点を奪うような形は今後も模索していくが、現状の“最大値”を発揮して掴んだ勝ち点3は、チームにとって大きな原動力となる。
勝利を積み重ねながら、新たな攻撃を肉付けしていく。そうした循環を確固たるものとするためにも、大宮戦の結果を無駄にしてはならない。
そして、川辺とムサエフには今後も高いパフォーマンスが求められる。10番を支え、彼ら自身も攻守に輝く。中盤トライアングルの関係性が今後も深まれば、カウンターやサイド攻撃以外の引き出しも生まれるはずだ。
(取材・文:青木務)
【了】