「最後まで戦い続ける。契約がある限りは絶対に諦めない」
だが困難にぶつかるたびに懸命な努力でその壁を乗り越えてきた28歳は、「僕は自分の能力を信じている。もしチャンスがあれば自分の良さを見せて結果に結びつけたい。出場機会があれば、いつでもいいプレーをする自信がある。フットボールには常にチャンスが転がっているものだからね。それをしっかりと掴みたい」と周囲の心配を意に介さない。
昨年も出場機会に恵まれずJ3に出場したこともあった。出番が少なかった影響でオーストラリア代表から外れたこともあった。そんな苦しい時期を経験しても、腐らず、貪欲さを失わず、常にチャンスをうかがっていた。
いまのJ1でベンチ外が続く状況を考えれば、移籍して環境を変える選択肢もあるのではないか。そんなことを思って、最後に彼に尋ねてみた。だが、予想に反してバーンズの口から出てきたのは固い決意のこもった言葉だった。
「今シーズンはFC東京との契約があるから、最後まで戦い続ける。もし最終的にクラブからいらないと言われたら、新しいクラブを探すことも選択肢になる。だけど、契約がある限りは絶対に諦めないよ。それが僕の仕事だからね。フットボールの世界が変化するスピードは本当に速い。1週間なんてすぐだ。絶対に諦めないよ!」
取材対応を終えた後、勝利のために力を尽くしている選手に失礼な質問をしてしまったと感じ、「先ほどは失礼な質問をしてしまい申し訳なかった」と謝罪した。するとバーンズは「ノープロブレム、君の質問は良かった。全く問題ないよ」とこちらをフォローしてくれた。
真のジェントルマンにして、真のチームプレイヤーであるバーンズは、どんな状況に置かれようとひたむきに努力を続ける。「絶対に諦めないよ!」と力強く宣言した彼の表情はプレーする喜びに溢れていた。
(取材・文:舩木渉)
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