自ら志願してJ3へ。若手の前で見せた真のプロ意識
そんな状態でJ3の試合に出場することに、バーンズ本人の葛藤はなかったのだろうか。
「もちろん簡単でない部分はあるけど、今日に関しては自分が望んでプレーしたんだ。初めての選手たちとのプレーでわからない部分も多くあったけど、まずは自分がプレーする機会を得ること、そこでしっかりと結果に結びつけることが大事なので、それに集中したいと思っている」
小柄なオーストラリア人ストライカーは、J3でのプレーを”It’s good, fun”、つまり「楽しかった」と振り返った。ピッチでプレーする機会を欲していた純粋な気持ちから出た言葉だろう。
ただ、バーンズの実力がJ3において“オーバースペック”であることは否めなかった。初めて同じピッチでプレーする選手がほとんどだった影響もあるが、判断スピードやテンポ、細かな部分の正確さなどのレベルが周囲とかみ合わず、苛立ちを見せる場面もあった。
ボールを持っていない状態で相手DFのマークを外し、最終ラインの裏へ飛び出そうとパスを要求しても、周りの若い選手たちがそれについていけず、精度の高いパスが出てこない、あるいはタイミングが遅れてしまいオフサイドになるというシーンは1回や2回ではない。唯一プレーのテンポが合っていたのが15歳の久保建英というのも皮肉な話だ。
それでもバーンズは「彼らは上手いし、J3でプレーできるのはいいことだと思う。若い選手たちは常に学んでいた」とクラブの将来を担う若手たちへの気遣いを見せたうえで、自分は少ないチャンスをものにすべく全力で準備する、本物のプロフェッショナルとしての姿勢を貫いていた。
シーズン開幕後に加入したウタカはまだフィットしていないが、コンディションさえ整えばじきにJ1で活躍し始めるだろう。そうなればバーンズにめぐってくるチャンスは今よりも少なくなるかもしれない。