「福島も絶対に立ち上がって復興できる。その力になりたい」
それは選手も同じだ。サンフレッチェ広島やヴィッセル神戸で250試合以上に出場し、2015年から福島ユナイテッドFCでプレーする茂木弘人は、地元の福島県福島市出身ということもあり「3.11」の開幕戦に特別な想いを抱いて臨んでいた。
「(福島は)生まれ育った街ですので非常に思い入れはありますし、特に今日、『3.11』に開幕ということも特別だと思います。そういう意味では自分自身非常に気持ちも入っていました。チームとしても戦えていたのではないかと思います」
22年前に阪神・淡路大震災を経験した神戸と6年前に東日本大震災を経験した福島、2つの都市でプレーした茂木だからこそ見えているものもある。
「神戸も震災のあった街で、神戸の街は復興して本当にきれいなな街になりました。そういう前例もありますし、福島も絶対に立ち上がってしっかり復興できると信じています。その手助けというか、力に少しでもなれたらなという思いはあります」
リーグ戦開幕直前には、クラブの鈴木勇人社長をまじえて被災地に本拠地を置くクラブとして果たすべき役割やこれまでの歩みなどを改めて確認した。選手間でも「3.11」という日が持つ意味を共有した。
2009年から福島ユナイテッドFCに在籍し、震災当時を知るGK内藤友康は「こういう日に福島のチームでサッカーができるというのは幸せなことだなと思いますし、福島のチームである以上、それが使命というか、明るいニュースだったり、元気になれるニュースを届けるのが僕らの役目です。そういう他のチームとはまたちょっと違った役割が福島にはあるのかなと思います」と語る。
震災直後の「放射能の高い数値が出ている中で(サッカーを)やっていて、目に見えないものだったので、感じないといえば感じないし、気にしちゃえば気になるし、というなかなか難しい状況」から立ち上がったからこそ、内藤が抱く福島への想いは強い。