サイドバックを置かずに戦ったルイス・エンリケ
PSGにとっては痛恨の悲劇的敗退、バルサにとっては望外の劇的勝利となったこの試合は、監督が自らのチームと戦術システムに与える影響力の重要性を明確に示している。
PSGほどの力強さと技術を兼ね備えたチームが、恐怖に萎縮して気概を失った状態でカンプ・ノウに乗り込んできたことは説明も正当化もできない。それこそがエメリと、例えばグアルディオラのような監督が異なる部分だ。
同様の状況において、もしペップ・グアルディオラの率いるチームであったとすれば、ボールを保持することを目指して戦い、プレスをかけ、攻めていたはずだと確信できる。エメリのPSGはカンプ・ノウにおいて、勝利の可能性が皆無であることを知っている4部チームであるかのように戦っていた。
だがルイス・エンリケはペップ・グアルディオラであり、またヨハン・クライフでもあった。勇敢かつ大胆不敵で、かのクライフがカンプ・ノウのベンチに座っていた時以来実行されていなかった戦術的布陣をピッチ上に展開していた。
3人のディフェンスと、4人の中盤(スアレスの後ろにメッシ)、そして前線の3人のうちネイマールとラフィーニャの2人が大きくサイドに開いてボールを受ける形だ。
しかし、クライフの遺産とPSG戦におけるルイス・エンリケの賭けとの間には大きな違いがあった。バルサは史上初めて、サイドバックを置かずに戦ったのだ。監督講座において必修科目として教えるべき異例のことだ。
セルジ・ロベルトも、アルバも、ディーニュも先発してはいなかった(アレイクス・ビダルは負傷中…)。ルイス・エンリケはこの一枚のカードに全てを賭け、一か八かのリスクを冒した。投げ放たれたコインは、彼の賭けた側の面を向けた。
サイドバックのいない両サイドを占めたのは2人の逆足の選手たちだ。右利きのネイマールを左サイド、左利きのラフィーニャを右サイドに配置。つまりルイス・エンリケは、バルサが中へ向けてプレーし、中盤で優位に立つことでPSGを囲い込んでボールを奪うことを意図したということだ。