バルササポーターの記憶に残ることが確定した決勝ゴール
「不可能だとは知らなかったから成し遂げられた」という言葉がある。バルセロナのクラブ史上、さらにはサッカー史上においても記憶にある限り最も感動的で濃密で劇的な夜のひとつとなったPSG戦で起きたことがまさにそれだった。
3月8日水曜日の夜にカンプ・ノウが迎えた結末は、どれほど熟練した脚本家の筆が乗ろうとも書き得ないような仰天のシナリオだった。
欧州のカップ戦が設立され、チャンピオンズリーグの形となった現在までに、2ndレグをアウェイで戦うチームが4-0でリードしていたケースは計58回あったが、リードされた側のチームが逆転で勝ち上がったことは一度たりともなかった。この大陸のサッカー史上前例のない画期的事件を我々は目にしたということだ。
さらに、ルイス・エンリケのバルサがウナイ・エメリのPSGに対して成し遂げたことは、前人未到の三回転宙返りと言うべき最も困難な形でもあった。
単純に0-4から逆転しただけではない。1-3にされ、6点を奪わなければならない状況からの逆転だ。そこから残りの3点を7分間で決めてしまった。88分の時点では敗退確実だった。
最後の瞬間、最後の一息でセルジ・ロベルトが奇跡を実現させた。ウェンブリーで行われた1992年チャンピオンズカップ決勝でクーマンが決めたゴールと同じくらい、すでにバルササポーターの共通の記憶の中に残ることが確定したゴールだ。
セルジ・ロベルトのゴールに至るまでのプレーは、ピッチ上において誰も見たことがないようなものだった。中盤でファウルを受けて一連のプレーの起点となったのは、何と相手陣内まで攻め上がっていたGKテア・シュテーゲンだ。