J1昇格プレーオフ決勝で奪った値千金のゴール
新天地セレッソで迎えた2016シーズン。清原が立った舞台はJ2ではなく、U‐23チームを参戦させているJ3だった。オーバーエイジ枠でのプレーだったが「チャンスを得たときにパワーを出せるように、毎回ずっと準備している」という真摯な姿勢は変わらない。
ひとつだけ心残りをあげれば、古巣ツエーゲンとの対戦でホーム、アウェイともにピッチに立てなかったこと。J3そのものは6試合で卒業し、汗をかきながらチームの潤滑油になる不可欠な存在として、セレッソのなかで確固たる居場所を築いていく一方で、下位に低迷する古巣の動向はやはり気になる。
2年連続で決勝に進出した12月4日のJ1昇格プレーオフ。J3で2位に入った栃木SCとの入れ替え戦に回っていたツエーゲンが、勝って残留を決めた一報をキックオフ前に受けた。安ど感が込みあげてきた。先発で臨むファジアーノ岡山との決勝へ、新たなパワーをもらった気がした。
「コーナーキックからのこぼれ球というのは、シーズンを通して狙ってきたこと。ゴールそのものは泥臭いというか、ただ詰めるだけでしたけど、最後の最後で結果を出せたことは自分のなかではよかったと思っています。自分らしいと言えば自分らしいゴールでしたね」
冷たい雨に打たれながら繰り広げられた死闘に、決着をつけたのは清原だった。ともに無得点で迎えた後半7分。コーナーキックからのこぼれ球に両チームの選手たちが入り乱れた直後に、目の前にこぼれてきたボールを無我夢中で押し込んだ。
試合終了とともにキャプテンのFW柿谷曜一朗が、シーズン途中にブンデスリーガのハノーファーからわずか半年で復帰したMF山口蛍が、ひと目をはばかることなく号泣する。新たな歴史が紡がれたキンチョウスタジアムでヒーローになった清原は、こんな言葉を残している。
「別のチームにいましたけど、昨シーズンに昇格できなかったセレッソの姿を自分も見ていた。そのときの悔しさというものが、サポーターの方々からも1年間を通してずっと伝わってきたので。J1に戻れて、本当によかった」